初稿: 2024/07/21
月日は百代の過客にして、行きかう年も又旅人なり。*1
――凄いですね。当時*2から四次元的(時の流れも空間の次元と等価に扱っている)な観点があったのでしょうか。それはさておき、旅人を見ると旅をしたくなるもの、近年の私の旅行熱に再び火を付けた旅の記憶を記します。時という遠くへ行ってしまった旅人を偲んで、奥州仙台へ新幹線を使わずに旅した記録を。

2020年11月22日 (M1)
けごん9号:浅草(0830)~東武日光(1022)

というわけで、私鉄版北の玄関口(個人の感想です)こと浅草駅から本日の旅はスタート。もうこの時点で大体のルートが察せてしまうのはご愛敬。

はい。指定席特急券も事前購入済みなので、あとは改札を通ってホームで待つだけです。

東武浅草駅名物の急カーブを通って入線してくるスペーシアに乗って、まずは関東平野を北上していきます。今回はサニーコーラルオレンジ塗装の104F。個人的にはスペーシアはオリジナル塗装が一番だと思います。まあ紫・水色は色違い感あっていいですけど……。

この歩きスマホに対する殺意が高すぎる乗降口、毎回撮ってますね。
bokutou-travel.hateblo.jp


ホームとの隙間に落ちないよう気をつけつつ気になる車内へ乗り込むと、ぱっと見の印象は明るすぎず落ち着いた感じの、よくある平成初期の内装。しかしながら、一般車なのに広いシートピッチにフットレスト付と豪華な装備です。流石は東武のフラッグシップ、プライドを賭けた豪華な内装です。肘掛け内の小型テーブルに加え、東武名物の引き上げたら戻し方が分からないテーブル付。このテーブル、指を挟みそうで怖いんですがどう戻すのが正解なんでしょう……。

そんな特急「けごん」は浅草・スカイツリー駅を出ると北千住に止まり、複々線を思う存分疾走します。というわけで100系スペーシアの車内を散策。豪華特急らしく、当時3号車ではビュッフェ(カフェ)が営業していました*3。ドリップコーヒーや生ビール、おつまみ軽食は勿論のこと、フライドポテトやたこ焼きといったホットメニューも取り揃えていたのが、そのへんの車内販売とは一線を画します。といっても、高速道路のSAの自動販売機で売っているような、冷凍食品をチンしただけのものですが……。それでも専用のカウンターコーナーがあり、パッケージされていない飲食物を提供するビュッフェコーナーには、車内販売すら縮小されゆく現代には無い、往年の花形特急の面影がありました。そんな雄姿をカメラに収めようとしましたが、複々線を爆走し揺れる車内ではブレブレの写真しか撮れず……。

結局ホットコーヒーを購入し、自身の座席で落ち着いて飲むことに。朝なので勇気が出ませんでしたが、生ビールを買えばよかったと少し後悔。そんなビュッフェコーナーは最新の「スペーシアX」の車内カフェに転生していますが、「サフィール踊り子」といい「しまかぜ」といい、こうしたビュッフェは「豪華列車」でしか生き残れないのは寂しいところです。

そうこうしているうちに東武の一大結節点・春日部駅に停車すると、いつの間にか東武伊勢崎線と分かれ栃木県へ。栃木駅、新鹿沼駅に続いて下今市駅に停車。鬼怒川線と分かれます。「けごん」*4と「きぬ」*5、ちょっと行き先が分かりづらいような気もしますけどね。JR直通は「スペーシア日光」「スペーシアきぬがわ」と分かりやすいのに。

そして列車はいよいよ終点・東武日光駅に到着。開放感のある末端駅に、スペーシアの車体が輝きます。どっと降りていく観光客と共に私もスペーシアを下車。日光の大地を踏むのは、小学校の修学旅行以来です。やはり、秋の日光はめちゃくちゃ混んでますね。

リバティけごん28号:東武日光(1220)~下今市(1228)

関東有数の観光地・日光を観光…と言いたいところですが、そんなに時間は無いので、東照宮の手前まで見て退散。まだまだ関東地方、もっと北を目指さねばなりませんからね。個人的には秋の紅葉を見られただけで満足です。東京は銀杏ばかりですが、やはり秋は紅葉の方が美しいと思います。

紅葉で満足ですが、それだけではちょっと味気ない。そういえば、修学旅行で食べた湯波が美味しかったことを思い出し、せめて日光を味わうことに。という訳で境内?の食事処に入って湯波蕎麦を注文。もっとガッツリ湯波を食べたかったところですが、これはこれでお手軽に十分美味しかったです。強行軍なので仕方ないですが、それでも可能な限り日光を味わったと言えるでしょう、言わせてくれ。こんな雑に日光を消化する人間は居ないと思いますがね。ごめんなさい。

再び東武日光駅から、「リバティけごん」で日光線の分岐駅・下今市駅へ戻ります。車両はその名の通り、東武の新型特急500系「リバティ」です。なんとも成田エクスプレスやミュースカイを思い出す正面形状ですが(いや貫通扉だけか)、分割併合を行う汎用特急車両はまあ似たような見た目になるのでしょう。当時*6の東武特急は下今市以遠のみの利用の場合特急料金不要だったので、贅沢にも東武日光~下今市でリバティに乗車します。現代的な見た目に違わず、車内も明るい内装にWi-Fi完備と現代の特急に合わせた設備。これはこれで快適な移動でした。

リバティ会津117号:下今市(1243)~会津田島(1408)

下今市からは東武の誇る長距離特急「リバティ会津」に乗車していきます。なんとその走行距離は近鉄名阪特急をも上回る190 km超え。関東のみならず全国の私鉄特急ランキングでも堂々2位*7のロングラン特急です。東武鬼怒川線の末端・新藤原から野岩鉄道に直通し、さらには会津鉄道にまで乗り入れて一挙東北へ、会津田島駅まで走り抜けます。

接続待ちの15分間、SLの機回しを眺められたのは幸運でした。そうこうしているうちに、乗車予定のリバティが入線。分割作業を眺めたいところですが、さっさと乗車して席を確保します。そう、この先の区間は全て「下今市以遠」なので、前述の通り特急料金不要で乗れてしまえたのです…!(現在は不可)分割して3両になるので、車内はかなり混雑していました。まあ、鬼怒川温泉ですっかり降りてしまい、その後は席を選び放題でしたが。そそくさと窓側の席へ移動します。

そうこうしているうちに、新藤原駅に到着。ここから東武鉄道を離れ、野岩鉄道へ乗り入れていきます。車窓も一転、トンネル主体の区間となり関東から離れていくのを実感します。橋ありトンネルありと無駄に技術でゴリ押した感じが公団線って雰囲気です。

栃木県を抜け福島県に入ると、会津高原尾瀬口駅に停車。さらにここからは会津鉄道に乗り入れ会津若松を目指していきます。制限速度も遅くなり、カタンカタンと音を立て車体を揺らしながら、ゆっくりと北上していく旅情。そんなローカル線の趣のある路線を、最新鋭の特急車両で走り抜けるギャップ萌え。実際、変電所に負担をかけないようパワーをセーブして走ってるんだとか。恐ろしい子。

ゆっくり急いで、会津線内は無停車で走り抜け、終点の会津田島駅に到着。会津鉄道の途中駅ですが電化区間はここまで。なので電車特急のリバティもここが終点です。下今市からでも約1時間半の長旅でした。東北は遠いね。

会津鉄道快速リレー117号:会津田島(1426)~会津若松(1529)

どうやら会津鉄道は「ノラと皇女と野良猫ハート」とコラボしていたらしく、元キハ40のラッピング列車が留置されてました。原作はエロゲだけどいいのか……?

もちろん、地方鉄道あるあるの鉄道むすめも改札でお出迎え。鉄印帳とかも売ってました。

そんな会津田島の駅舎内には日本酒の試飲自販機があります。というわけで早速会津を味わっていきましょう。売店で専用コインを購入し、乗り換え待ち中にレッツ試飲です。まあ待ち時間15分しかないので1杯で我慢。

会津を味わったところで、快速リレー号に乗車します。その名の通り「リバティ会津」のリレー列車で、JR只見線にまで乗り入れ会津若松駅まで走り抜けます。前述の通りここから先は非電化なので、気動車での運転です。単行気動車がエンジンを震わせ、すいすいと駅を飛ばす快速列車、いいですねえ。

JRバス:若松駅前ターミナル(1610)~仙台駅(1835)

というわけで会津若松駅に到着。ここからは高速バスで目的地の仙台を目指していきます。時間もないし郡山まで出るのも何か違うな、ってことで高速バスで妥協です。企画の趣旨的には阿武隈急行とか乗った方が良かったんでしょうけど…力尽きました。このバス、事前予約とかできないそうなので、乗れるか不安でしたが、車内はガラガラ、余裕の乗車でした。車窓も徐々に青味を増してくる黄昏の高速道路。どことなく寂しい気持ちにさせられます。

謝辞:使ったきっぷ

最後に往路で使った乗車券です。なんと東武鉄道では会津までの、東武鉄道・野岩鉄道・会津鉄道・JR東日本の4社連絡の乗車券を発券してくれます。しかも途中で日光に寄ってるので連続乗車券での発券です。途中下車の度にハンコを押してもらうのがいいアクセントになりました。こんなめんどくさい手書き乗車券を作ってくださった東武の出札の方に感謝申し上げます。ありがとうございました。
それでは、後編に続く。