初稿: 2025/04/29
2024年5月26日 (D3)
新生活も落ち着いてきたところで、本年初投稿です。
さて、時は遡って2024年。えきねっとで中央線特急に「在来線チケットレス特急券(トク割)」が導入されたスタートキャンペーンで「在来線チケットレス特急券(トク割)」(50%割引)が発売されました。半額ですよ半額。ほかにもいろいろ使ってみよう/乗ってみようと思えるものが重なったので、中央線の旅に出ることにしました。実はまだスーパーあずさに乗ったことなかったしね。

あずさ1号:新宿(0700)~上諏訪(0913)

いざ中央線ということで、日本一いや世界一のターミナル駅、新宿からスタート。とはいえ7時前だと流石にだだっ広いコンコースも人はまばら。駅ナカのお店も開いていません。

乗るのは中央本線特急のトップナンバー、「あずさ1号」です。とはいえ臨時だともう1本前にあるし、鉄オタ的に有名なのはこの後の「あずさ3号」(千葉あずさ)でしょうけど。本当は3号に乗りたかったけど、早朝に千葉に行くのは厳しいので…。
特急券はえきねっとで手配。別にチケットレスで便利だと感じたことは一切ありませんが、えきねっとチケットレス50%オフには抗えず…。

さっそく、新宿駅に9番線に入線してきたE353系に乗り込みましょう。だからこの形式名の主張は何なんだ。先代の振り子式E351系ほどではありませんが、空気ばねの車体傾斜機構を駆使してカーブの激しい中央本線を駆け抜けるスーパーなあずさ。…と言っていたら全列車E353系に統一されて「スーパー」の称号は剥奪されてしまいましたが。JR西と違って「スーパー」には厳しいですよね。

そんな中央線特急は、常磐線・N'EXと並んでJR東日本が力を入れるフラッグシップ在来線特急。車両はもちろんお下がりではなくピカピカの新車で、さながら地を走る新幹線のよう。というか下手な新幹線より新しいです。車内販売も現役で、東海道新幹線では食べられないスゴイカタイアイスが買えちゃいます。コーヒーは夏季は販売中止しているそうで、そこは残念でしたが、朝から無意味にアイスを購入です。

あさイチのあずさ1号なんて混んでないだろ…と思っていたら、全車指定席で普通車は満席とのこと。山登りニーズが高いのですかね、ナメてました。
列車は途中立川・八王子で客を集めると、高架区間も終わって山の景色に。揺れる車体が寝落ちしかける私を起こしつつ、右へ左へ山間を縫いながら県境の山を登っていきます。こうして実際に県境を跨いでみると、この辺でエリアを分けたくなるなあ…って腑に落ちますよね。
やがて視界が開けると、眼下に甲府の街並みが広がります。と平地でほっと一息ついたところで、列車は再び山間部に突入し、松本へ向けて県境を越えます。

一山(n山?)越えたか、というところで再び市街の気配が。雪が残る山々が遠くを囲み、内陸県の風景に心を奪われます。久々の街に特急も停車駅が増え、新宿から2時間、乗り換え地点の上諏訪駅に到着です。

飯田線[普通豊橋行]:上諏訪(0922)~飯田(1219)

上諏訪駅は有名な温泉地。駅改札内には立派な足湯があります。まあ、これだけなら温泉地にはよくある話ですが、なんとここでは駅売店で購入した温泉卵セットで温泉卵を自分で茹でることができます。ずいぶん面白そうなのでやってみたかったのですが、今回は時間がないので泣く泣く断念。10分の乗り換え時間じゃ茹で上がらないでしょうからね。

というわけで新宿から2時間、JR東海の車両に乗り換え一路南へ。ちなみにこの列車、7時間かけて飯田線を走破する驚異の列車なのですが、今回は途中の飯田で下車いたします。これに最後まで乗るのも面白そうだけど、今回の趣旨はまた別なところに。

JR東海の車両は諏訪湖を眺めながら東日本の線路を走り、東海地方を目指して単線の辰野支線へ。このへんの中央線事情は複雑ですよね。塩尻には参りません。そんな辰野駅からは飯田線に入線。いよいよかの有名なローカル線の旅がスタートです。

のどかな里野の風景の中を、列車はのんびりと走っていきます。田舎の景色…とはいうものの、ここまではよくあるローカル線の景色。関東で例えるなら両毛線のようなものでしょうか。手のかけられた田んぼ、整備された道路が、人の気配を感じさせます。人の乗降・列車の交換もそれなりにあり、県内の移動がそれなりにあるんだなあといった感じです。篠ノ井線ほどじゃないけどネ。

なんやかんや上諏訪駅から3時間、休憩地点の飯田駅に到着です。豊橋へと先に旅立つ313系に敬礼して、見送ります。

駅舎の方へ振り向くと、謎の萌えキャラゆるキャラ「ナミキちゃん」の姿が。姉妹かと思ったら、同一キャラらしいです。実は豪華声優のついてる豪華キャラだったとか。しゃべってよ…。

反対ホームには、リニアに浮かれるアルクマ*1と、駅メモで飯田線といえば!の御三家が一人メロ氏が。というわけで、途中下車印を貰って外へ出てみましょう。

急行飯田線秘境駅号:飯田(1305)~豊橋(1754)

「特急」って何の略ですか?そうですね、「特別急行」ですね。では、特別じゃない急行って…?JRの定期列車からは消滅してしまいましたが、その「急行」を冠した特別列車がこの飯田線を走ります。その名は「飯田線秘境駅号」。秘境駅が多いことで有名な飯田線を、途中秘境駅で下車する機会をくれながら走る観光列車です。というか観光バスのような列車で、客層も観光バスそのもの。リタイアしたであろうおじさんおばさん(老夫婦)が多かったです…。

ちなみに臨時列車なのでわざわざみどりの窓口に10時打ちしにいきましたが敗北して通路側しか取れませんでした(前の人がサンライズチャレンジしていたのでやむなし)。実はe5489とかえきねっとで買えたんですね…なんて無駄なことを。

観光列車とはいうものの、車両はおなじみ373系。自称「ワイドビュー」だった時期もあります。まあ、JR東海は波動用車両とか持ってないですからね。とはいえ侮るなかれ。373系を骨の髄まで味わい尽くす、濃厚な旅が待っていたのでした…。

この「急行飯田線秘境駅号」は上下1本ずつあって、下りがそのまま折り返すと思っていたのですが、直前の「特急伊那路」が折り返し秘境駅号の運用に就きます。そんなの時刻表見ればわかるだろ。そのため、この気合が入ったヘッドマークも各列車の特注品なわけです。ところでこのヘッドマークに映る車両はえちぜん鉄道に譲渡されたとかなんとか。

こんな一般形車両でも観光列車といえる一つは、地元の方のもてなし。演舞を披露したり、発車までの時間を飽きさせないようもてなしていただけました。

地元の方に手を振りながら飯田に別れを告げ、目指すは最初の秘境駅千代駅。世の中には秘境駅ランキングなる意味不明なものがあり、当駅は29位とのこと。ジャンプ漫画みたいだな…。飯田線はこの秘境駅ランカーを多数抱える屈指の秘境路線であり、その秘境駅を巡るのがこの「飯田線秘境駅号」の趣旨となります。観光バスじゃ行けない地に電車で乗り付け、散策する時間ももらえるという、観光にはうってつけの列車です。普通電車で降りちゃったら、なかなか生きては帰れませんからね。

では早速、豪勢な特急型車両には不釣り合いなほっそい千代駅ホームに降り立ちます。切り立った崖の上に民家がぽつんと一軒あるだけ。一体どこからが私有地なんでしょうか。

お次は秘境駅ランキング7位の金野駅です。男の子って本当ランキングとか好きね。

切り立った崖の下に、ぽつんと佇む細いホーム。これぞ秘境…といった駅に、溢れんばかりの乗客が。それもそのはず、特急一編成分(3両)の乗客が一斉に降車するのです。こんな秘境駅のキャパで耐えられるはずがありません。

秘境の風情もへったくれもない賑わいに、秘境駅ヲタからは忌み嫌われている(?)この企画ですが、逆に言うとこんな駅に大量の人が居る光景を見られるのはこの飯田線秘境駅号だけの特権なのです。

いくら人が居ようと、圧倒的自然の前には無力。ホーム上の喧騒を一歩離れればそこはもはや山中なのが秘境駅ランキング1桁の実力でしょう。

そんな狭っくるしいホームから逃れ、再び飯田線を進みます。美しい川とともに山間を縫う線形が、ローカル線という感じですね。電化されているのが不思議なくらい。

15分ほど揺られて、お次はランキング4位の実力者、田本駅に停車。トンネルの合間・断崖絶壁に作られたここは、見るからに絶望的な駅です。どうしてこんなところに駅を作っちゃったの…?

というわけでお待ちかね、駅周辺散策の時間です。あまりにも駅が貧弱小さすぎるので、乗客を2グループに分けての見学。秘境駅なのに、さながらラッシュ時の新宿駅のような行列を体験できます。

順番を守って、ぞろぞろ階段を上ります。この階段にとって、一年分の客が通ったんじゃなかろうか。ちなみにこの階段周辺にスズメバチが飛んでて気が気じゃありませんでした。こんなところで刺されたら、治療を受けられるのは何時間後になることやら…。

田本駅の見学を終え、電車に揺られて僅か7分、次なる秘境駅は17位の為栗駅です。秘境駅多すぎでは??

閉塞感のあった田本駅とは打って変わって、山と川のハーモニーを感じられる解放感のある駅です。こころなしか乗客の顔も明るい気が。私も伸びをして一つ深呼吸。さて、あの大きな橋まで歩いてみましょうか。…と言いたいところですが、停車時間は僅か12分。橋の中腹に差し掛かったところで添乗員の方に「まもなく発車するのでお戻りください」と言われ小走りで車内へ。こんなところで取り残されたらたまったもんじゃありませんからね。

天竜川を右手に走ること8分、平岡駅に16分停車です。ここは秘境駅というより、休憩と物販のお時間。久々に見る人工的な構造物に落ち着きます。

私もトイレを済ませ、焼き立ての鮎の塩焼きで腹ごしらえ。いざ、次なる秘境へ。

僅か5分で次なる秘境、伊那小沢駅です。橋に片足を突っ込んでるような駅ですが、こんな駅でも2面2線の交換駅。正直こんなところで交換待ちしたくありませんが…。

僅か3分で次の駅、ランキング14位の中井侍駅です。これまた線路と山肌の標高が合ったところに無理やり駅を作ったような場所…ですが、正直こうも秘境駅が続くと感覚が麻痺してきます。どれも駅っぽくないし…。


やっぱり県境は魔境というべきか。5分で県境を跨ぎ、静岡県の誇る次なる秘境駅に停車です。

秘境に慣れてきたとかほざいてたところで、銅メダリストの小和田駅(ランキング3位)のお出ましです。擦れた駅名標が、秘境を態度で示します。

そんな小和田駅は三県の境界に。ただでさえ県境はマズいのに三県にも跨ったらどうなっちゃうの~~

そんな小和田駅から一歩踏み出すと、そこはすでに山中。鉄道以外の交通手段ではたどり着けない秘境にあるがゆえの、秘境駅だと再認識させてくれます。ぞろぞろと歩いて、なにか民家を見つけたかと思えば……

「崩壊の恐れ」とのこと。人の痕跡はあっても、人の気配は感じられません。

放棄され、朽ちて自然に帰りゆく廃墟の中を歩くのは、さながらラ〇ュタのよう。「小和田」は王家の名だったのだよ。秘境というより遺跡ですが…。

電車は小和田駅を出ると、スピードを上げて…とはいかず再び速度を落として。景色を楽しめるよう、撮り鉄の名所「S字鉄橋」を徐行していきます。


最後の停車駅、浦川駅に停車。ここは秘境駅とかではなく、列車交換のための停車です。

対向の普通を見送って、この列車も急行らしく浦川駅からノンストップで1時間半、終点豊橋駅へ駆け抜けます。途中、秘境駅の柿平駅を通過しますが*2、そこはおそらくダイヤの都合。臨時急行がのんびり秘境駅に停車してたら、後続の定期列車の邪魔になってしまいますからね。

そんな区間でも、車内では乗客を飽きさせない工夫が。乗車記念証を配布し、急行券にチケッターを…さらにチケッターを押すのを体験させてくれました。しかし揺れる車内、上手に押すのは一苦労です。これを立ったまま綺麗に押せるんだから車掌さんは凄い……。そして録り鉄へのサービスなのか、373系のチャイムも鳴らしてくれました。なんと車掌さんも使ったことがない音色もあるとのこと。たしかに聞いたことがありません。

車内を満喫していると、飽きることなく終点豊橋に到着。最後まで小気味よく、トークやら沿線案内やら、おしゃべりの上手な車掌さんでした。次は普通電車でお越しくださいとのこと。降りた後、ちゃんと拾ってくれれば……。

こだま742号:豊橋(1809)~東京(2018)

改札を抜け新幹線ホームに上がると、そこにはのぞみ239号が停車中。何かトラブルのようでヒヤッとしましたが、東京方面は普通に動く模様で一安心。こだまの入線を待ちます。

というわけで、今回はこだまのグリーン車に乗車していきます。別に「ぷらっとこだま」ではなく、EX予約の「グリーンプログラム」のポイントが切れそうだったので使った次第です。もう廃止されましたけど!

こだまといえど、車両はのぞみと同じN700A(ラージの方でした)。座席自体に差異はなく、快適な2時間でした。のびのびしていたらあっという間でしたね。というわけで東京に帰還です。

おわりに

飯田線秘境駅号、予想以上に楽しませてもらいました。秘境駅も、いちいち普通電車で回っていたら時間が足りないので、こういう観光バス的な列車はありがたいと思います。満員の秘境駅という珍しい光景が見られますしね。
会社の方針か観光用の車両とか無いJR東海ですが、持てる資産を最大限活用して楽しませようというもてなしを感じた列車でした。というか、これと同じことを185系とかE655系とか使ってやったら大変なことになるんじゃないか?JR東海の本気度が窺える電車だと思います。JR東海の他の臨時列車にも期待しちゃいますね。
だけど最後に、EX予約の改悪はダメだ。
というわけで、お読みいただきありがとうございました。