ぼくとー旅行記

どんなに些細な距離であっても、非日常がそこにあるならそれは旅行である。

若者の四国(第二国)―予讃・予土・土讃

初稿: 2023/12/30

2017年8月19日

 「若者限定四国フリーきっぷ」で行く、若者*1の四国一人旅、2日目です。

 という訳で前回の続き、松山からおはようございます。

新旧特急

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宇和海7号:松山(0903)~宇和島(1024)

じゃこ天うどん

 それでは朝から松山駅で、愛媛名物「じゃこ天」を乗せたうどんをいただきます。練り物とかいうのではんぺんみたいなものを想像していたら、魚の味がしっかり主張していてgood。「魚を食べた」って気分になれます。油っこさもないですし、朝にももってこいなメニューです。

Trans Shikoku Experimental

 お腹を満たすと、コンビニで購入したコーヒーを片手にホームへ。本日一本目はこちらの予讃線特急「宇和海」。昨日も途中まで乗りましたが。車両はこちらのTSEこと2000系気動車試作編成です。量産型とは異なる見た目・「プロトタイプ」の響きに胸が躍らない訳がありません。他社だと試作車にも量産型改造を施して、目立たぬよう量産車と同じ運用に就かせることが多いですが、TSEをTSEのまま目立たせて、専用運用で使ってくれる四国はファンサービスが充実していると言えます。「試作車」をウリにしなければならないところが四国とも言えますが……。

ローレル賞のプレートも誇らしげに

 とはいえ、内装はほとんど2000系量産車と同じように改装されています。椅子の色が異なるくらいですかね。それはそれとして、2000系非貫通顔の大きな窓からの前面展望は最高です。

前方の開けた視界に夢中

 2000系はその振り子機能を活かしながら、予讃線の山の中を駆け抜け、宇和島まで僅か1時間20分。唸るエンジンもさることながら、その車窓は複線区間に比して単線ですと左右から木々が迫ってくるので、迫力満点です。

高速で掻き分ける森も、時折覗く海も、予讃線の魅力
しまんトロッコ2号:宇和島(1029)~窪川(1316)

末端・宇和島

 次は、終点宇和島駅からJR四国屈指の赤字路線予土線に乗っていきます。厳密には予土線は一つ隣の北宇和島駅から(まで)ですが、予讃線を乗り通して宇和島駅からスタートです。まあ、小倉駅みたいなもんですね。そのため宇和島駅は本当に末端駅。頭端式ホームが果ての地まで来たことを悟らせます。線路はどこまでもは続きません。

宇和島駅改札

 本数の少ない宇和島駅。乗り遅れる訳にはいきませんので、さっさと次に乗り換えます。窪川まではこちらのしまんトロッコ号に乗車します。色鮮やかな山吹色の車体はJR九州でおなじみ水戸岡鋭治さんデザイン。ローカルな雰囲気に映える非日常を演出してくれます。

ロッコは後部に連結。宇和島駅3番線にて。

 予土線3兄弟の長男たるしまんトロッコは、国鉄*2トロッコ列車。特筆すべきはそのトロッコ車両で、日本で唯一貨車であるトラ45000形で使用しており、リニューアルを経ながらも前身である「清流しまんと号」時代から現役な点です。形式がトラだから黄色と黒の色合いだとか。後発のトロッコ列車(笑)のような客車を改造した甘ったれた構造ではなく、荷台のような吹き曝しのお尻にダイレクトに響く乗り心地が本列車の魅力です。

漢気溢れるトラ45000形

 ……こう書くと酷い列車のように聞こえますが決してそうではなく、のどかな自然の中、子どもの頃自転車の後ろに乗せて貰ったときのような、軽トラの荷台に乗せて貰ったときのような、優しい爽快感が持ち味です。乗って良かったですよ、本当に。自然を味わうにゃエアコン完備サスペンション装備の温室じゃダメってことですよ。

ロッコは指定券必須

 そんなトロッコ車両に、宇和島土佐大正の2時間半*3乗車することが出来ます。とはいえトロッコ車両はエアコンもなく常に吹き曝しのため、前方の牽引車であるキハ54形で休憩することも可能です。まあその風を感じるのが気持ちいいので常にトロッコ車両に居ましたが。ただ、夏は虫が多いのが難点です。

途中で四国新幹線()と交換しました

 列車は宇和島を出ると北宇和島から予土線に入り、人気の少ない田園地帯をのんびりと走行します。前述の通りトロッコ車両は乗り心地が悪いのでトロッコ区間は徐行運転。しかし直接顔に当たる風により、体感速度はそれ以上です。眺めを堪能するのはちょうど良い速度でしょう。列車も時間も、まったりと。

列車はどんどん山の奥へ。まだ四万十川ではないらしい。

 あまりスピードは出せないトロッコ列車。その分、駅は通過して他列車に迷惑を掛けないよう運行されます。しかしそれでも迷惑だから、近年トロッコ区間が短縮されているのかもしれませんが。それはさておき、車窓から道路も消えてくると江川崎駅に到着です。

日本一(当時)

絵に描いたような風景

 江川崎駅には約30分の停車です。その間、地元の人が特産品を売り込みに来てくれます。まあ滅多に人来ないですからね。せっかくなので、お昼に四万十牛バーガーを購入。大自然の中でかぶりつくハンバーガーは美味でした。

ハンバーガーも空気も美味しゅうございました

 あとはどうせ交換もないような駅なので、みな思い思いに写真撮影タイムです。青々とした背景に黄色い車体は映えますね。コテコテと飾らない、必要最小限の車体が、何もない風景に溶け込みます。

「臨時」幕だったんですね

最高気温といかずとも、この日も暑い一日でした

 長い休憩を終えると、列車は土佐の国内を進みます。橋を何度も渡りながら清流・四万十川を右に左に、列車は土佐大正を目指します。

この先の区間は橋梁が増えてきます

みな清流に心を奪われ

 四万十川の日射しを風を直で浴び、清流の空気感を満喫します。この、川沿いを散歩しているかのような風景との一体感こそが、トロッコ列車の魅力です。

四万十名物「沈下橋」も見えます

 隣を流れる清流に夢中になっていると、とうとう土佐大正駅に停車。当駅にてトロッコ車両の開放は終了です。この先は前方の牽引車で旅することになります。

みな名残惜しそうに前方の車内へ

残されたのは、ひどく開けた無蓋車

 全員乗り心地の良い安全なキハ54形に移動したこともあって、列車は予土線の残りの区間を快走します。なお、若井~窪川の一駅はJRではなく土佐くろしお鉄道管轄なので、18きっぷの乗客は車掌に別途運賃を支払っていました。あと一駅くらい、JRには頑張って欲しかったですね。

終点窪川

 という訳で窪川駅に到着。長い予土線の旅も終了です。長いといっても、目の前に広がる美しい風景に全然時間の長さは感じませんでしたけどね。もっと乗っていたいくらいです。それにしても、天気に恵まれて本当に良かった。

到着後、機回しをするしまんトロッコ
あしずり6号:窪川(1402)~高知(1504)

おやつに窪川豆乳プリン

 窪川駅で小一時間あるのですが、周囲に何も見つけられなかったので近くのJA高知県みどり市へ。この時間帯は外をうろうろしてると暑くてたまったものではなかったので、休憩がてら売ってた「窪川豆乳プリン」を頂きます。

特急あしずり号

 熱中症にならぬよう気をつけて。続きましては特急あしずり号です。やはり2000系といえば高知ってイメージですね(個人の感想です)。しかもN2000系との混結で二度おいしい。うってかわって高速化設備の整った土讃線を2000系らしく軽快に飛ばして、終点高知駅に到着です。景色はがらりと変わり、久々に見る高架線と大きな駅舎に、安心感もひとしおです。しかしこんな遠くから、岡山駅まで一本で繋がっているなんて凄いですね。

久々に見る自動改札機

 予想外に分量が伸びてしまったので、今回の記事はここまでです。土佐編はもう少し続きます。

 今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

久々に見る電車

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*1:25歳以下限定

*2:前身の「清流しまんと号」

*3:記事執筆時は江川崎→土佐大正区間に縮小