初稿: 2023/07/09
2019年7月12日 (B4)
B4の夏。それは勝負の夏です。
就活…の代わりに大学院進学を決意した私たちは、来る8月の大学院入学試験(院試)に備え、研究室から長期休みを貰いながら勉強に励みます。
当然私も院試を突破できるよう、専門科目の勉強したり、英語をちら見したり、TARI TARI一気見したり、「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」を観に劇場に足を運んだりしていました。
そんな院試勉強の日々の中、いつの間にか私の手は日帰り旅程を組んでいたのです。
「気分転換は必要だから」
そう自分に言い聞かせ……。
- 2019年7月12日 (B4)
- 藤沢駅
- 江ノ島
- 鎌倉
- 長谷駅
- 由比ヶ浜駅
- 長谷駅(2回目)
- 七里ヶ浜駅
- 鎌倉高校前
- 腰越駅
- 江ノ島
- えのしま2号:片瀬江ノ島(1957)~新宿(2105)
- おわりに
- 参考文献
藤沢駅
せっかくの気分転換なら、興奮冷めやらぬうちに舞台を訪れたくないですか?
というわけで、今回使うのはこちらの「江の島・鎌倉フリーパス」。なんと小田急藤沢までの往復と、藤沢~片瀬江ノ島(小田急)並びに江ノ島電鉄全線の乗り放題がセットで1470円(新宿発, 当時)というお得なきっぷです。別に聖地巡礼しなくても、江ノ島に鎌倉と人気観光地をカバーしているので日帰り旅行にオススメなきっぷです。実際、聖地巡礼抜きにしても、風光明媚で歩いているだけで楽しかったです。天気はイマイチでしたが…。
本数の多い関東近郊なこともあって、どの列車に乗ったか忘れてしまったので、場所ベースで書きつらねていきます。
JR藤沢駅
スタートはフリー区間の端っこ、青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ないのOPでも使われた藤沢駅からです。小降りですが雨降ってるし、日を改めればいいじゃん、って気もしますが、青ブタ熱が冷めないうちにということで。チケットも今日しか取ってなかったしね。
こういう何気ない背景で興奮してしまうのが巡礼者ですね。でも、こうやってアニメの世界の片鱗に触れられ、同じ空気を吸えるのがたまりません。
ちょうど映画公開の頃だったので、街を挙げて宣伝していました。こういうの見ると、ファンとしては嬉しいですね。
ビックカメラ藤沢店ではパネルが設置されてましたし、麻衣さんの店内放送があった気がします。
御所ヶ谷公園
遊具が特徴的な、青ブタ作中でも割と重要なシーンを担う公園です。藤沢駅から歩いてこそこの距離にあります。ただ、そこに至るまでにも聖地はあるし、咲太の通学経路を辿る気分になれるので楽しいです。
住宅街の中の普通の公園なので、パシャパシャ写真を撮りづらいロケーションではありますが、雨の平日の日中ということもあって誰もいません。おかげでのびのびと、作品の空気に入り浸ります。雨降って良かったって感じですね。出来れば傘さした翔子さんが居れば写真も映えたんですが。
と思っていたら突然男性が近づいてきて――。
「――あなたも聖地巡礼ですか?」
なるほど。確かにこんな場所で一人でカメラ持ってる奴は同業者に違いない。良い推理だ探偵さん。
「古賀朋絵と同じポーズをしたいので、写真を撮ってもらえませんか?」
そう、この公園は古賀朋絵の印象的な迷シーン、尻を蹴り合う場面の舞台です。当然私は快諾し、手渡されたスマホのシャッターを切ります。どうせなら、もっと画角とか揃えれば良かったかな、と今になって後悔しますが、動揺していてそこまで気が回りませんでした。ごめんなさい。
「ありがとうございます。――お礼にあなたの写真も撮りましょうか?」
有難い話ですが、流石に恥ずかしかったので辞退。今にして思えば、彼のケツを蹴ってあげるべきだったのかな。ともあれ、お互いの巡礼旅の成功を祈ってお別れです。なかなか面白い一期一会でしたね。
江ノ電藤沢駅
こちらも青ブタでよく出てくる江ノ電藤沢駅。「おでかけシスター」でも印象的でしたね。単線・頭端式ホームが地鉄感ありますが、そんなんとは比べものにならないレベルで稼いでいます。関東の観光地列車といえばコイツでしょう。江ノ島・鎌倉と景色の良い観光地を通る、古くさい路面電車的な車両というのが旅情を駆り立てます。だからこそ、多くの作品の舞台になるのでしょう。でも平日はちゃんと地域住民の足になっているというところが、また愛おしいですね。
江ノ島
江ノ電江ノ島駅
江ノ電といえば、ということでまずは江ノ島駅で下車しました。やはり江ノ電といえば、この緑の300形ですよね。この車両の古くささが、のどかな沿線風景とマッチしています。こんな骨董品が、今なお地元の足を支えているというのは素敵です。この後、いろいろありましたが、撮れる内に撮っておくのが大事ということですね。
まあ、いわゆる「江ノ島」は小田急の方が近い気がするのですが。ただ、江ノ島に向かう道は良い感じの商店街になっているので、歩いていて飽きは感じさせません。
あぶらや@江ノ島
さて今回江ノ島を訪れた理由ですが、青ブタが40%、久々に江ノ電に乗りたかったが20%、残りの40%がTARI TARIというアニメも好きだからです。というわけでそちらの空気も味わいながら、江ノ島に上陸です。そういえば、青ブタもTARI TARIもメインヒロインは瀬戸麻沙美さんなんですよね。不思議なご縁。
雨はだいぶ小降りに。雨露に濡れた草の葉が、TARI TARIのOP映像を想起させてテンションが上がります。
さて、目指すは#島の茶屋あぶらやさん。TARI TARIの主人公の一人、和奏の家のモデルとなったところです。
あぶらやさん側もTARI TARIファンとは良好な関係を築いているらしく、店頭にはファンの方が描いた黒板が飾られています。こういうファンとお店側が仲良くしているのって素晴らしいですよね。ずいぶんと愛されてる作品だと思います。実際素晴らしい作品ですから。
当然TARI TARIに心を打たれた者としては、是非訪れたかったので来ました。まさに「聖地」ですからね。今回の旅のメインディッシュの一つです。
作中に登場したものと同じものを注文。コラボカフェの概念的なメニューもいいですが、巡礼者にとっては、「作品内のキャラクターと同じものを食べられる」というのはこの上ない幸せなのです。
ちょうどTARI TARIとのコラボキャンペーンもやっていて(事前調査済み)、注文金額に応じてTARI TARIの缶バッチを貰えました。引いたキャラは…和奏と来夏。一番好きな紗羽がないやん!
店内の巡礼ノートも綺麗に維持されていて、未だにみんなに愛されてる作品なんだなーと実感しました。好きなアニメに熱意を注いでいる方々が未だに居る、舞台の人々が我々を受け入れてくれる。作品好きとしてこんなに嬉しいことはないと思います。
鎌倉
江ノ電鎌倉駅
いわずと知れた観光地。そういえば中学の遠足でも行った記憶があります。幕府のあった場所に行ってみて何も無くてガッカリしたっけ。
そんなこの街も当然アニメの舞台になっていて。駅を出ると、TARI TARIで見覚えのある時計台が出迎えます。
鶴岡八幡宮
鎌倉といったらここでしょう。雨が降っててあまり動きたくありませんが、ここだけは訪れておきます。みんな銀杏で源実朝暗殺ごっこ、しますよね?…ね??
社殿ももちろん格好良いのですが、手前の庭園・池も中々神秘的な空間なので、オススメです。ちなみに、鎌倉観光はJR北鎌倉駅スタートのことも多いですが、北からだと鶴岡八幡宮の裏口についてしまうのでおすすめはしません。
ちなみに、池の反対側(参道から入って右手側)には全国でも珍しい鳩の餌やりができます。鳩とゼロ距離で触れあえる貴重な場所で、私みたいな鳥好き・鳩好きには是非オススメのスポットです。逆に鳩が苦手な人には全くおすすめしません。ものすごい勢いで鳩が集ってくるので。鳩好きでもビビるレベル。てのひらに鳥が停まってきて餌を啄むとかそんな生易しいものではなく、身体中に鳩が停まって掌中から餌を奪い去ります。このように大量の鳩に襲われる貴重な体験ができるので是非。私は今回も当然やりましたが、腕が傷だらけになりました。充分鳩は満喫したので、鳩サブレーはもういいかな…。
長谷駅
TARI TARIのOP映像で使われた海岸が長谷駅近くの「由比ヶ浜」ということで、江ノ電で長谷駅に移動。海沿いに出ると、「由比ヶ浜…?ということは由比ヶ浜駅方向でええやろ」と何も考えずに歩くことに…。
由比ヶ浜駅
ところが歩けども歩けどもOPの場所には出会えず。とうとう由比ヶ浜駅まで来てしまいました。何かがおかしい。そこでもう一度調べ直してみると、実は長谷駅から逆方向(稲村ヶ崎方向)に歩くべきだったことが判明。1時間、何をしていたんだ私は……?
失意の中、再び江ノ電に乗って長谷駅に戻ります。皆さん、こういうのはちゃんと下調べしてから行きましょうね。ところで由比ヶ浜といえば某ピンク髪の負けヒロインが思い起こされますが、あれの舞台は千葉なのであしからず。負けヒロイン、好きなんですけどね。ちなみに雪ノ下という地名は鎌倉にあります。
長谷駅(2回目)
由比ヶ浜
長谷駅から海に向かって右側に歩くと、やがてタイルの壁が見えてきます。波を意識しているのでしょうか、青色のアクセントが素敵です。そうだよ!この景色だよ!TARI TARIのOPで見た!!
区間毎に整備業者が違うのでしょうか、このタイル張りの光景も海岸沿いの一区間です。なので端から端まで歩いてみましたが、まあそれなりに距離はありました。でも雨は止んできたし、海岸沿いの道で歩道もしっかりしているので、空気も良く、潮風のハーモニーも感じられますね。散歩にはピッタリの区間だと思います。
折角なので端まで行ったら、「Dreamer」を流しながらこの道を走ってみました。潮風の湿気が、香りが、身体を包み込んできて、何だか心地良いですね。共に走ってくれる仲間はいませんが、むしろ通行人もいないので奇行に走っても迷惑がかからないのはいいことです。
七里ヶ浜駅
青ブタの聖地といえばここ。重要なシーンで見たことあるような背景が多数あって、舞台の空気感を特に味わえます。
七里ヶ浜駅周辺
駅自体も作品内で良く見た光景ですが、駅を出て、内陸に向かおうとするとこの踏切が出迎えます。そうですね、核心に迫る会話も多く繰り広げられた例の踏切です。それを知っていると、踏切待ちの時間ですら愛おしく思えます。
そして高台を登ると、この県立七里ガ浜高校が待っています。校名こそ違いますが、完全に見覚えのある校門で、テンションが上がりますね。校門が開いてたら完全に不審者ですが。
七里ヶ浜
線路を挟んで今度は海沿いに出ると、またしても見覚えのある階段が。青ブタ視聴者なら、様々なシーンが脳裏に浮かびますよね。特徴的な階段とその先に広がる砂浜で繰り広げられたドラマを思い出すと、立っているだけで特別な感動に震えます。こんな曇った砂浜で興奮しているのは、キモオタだけでしょうね。
作中に倣って、砂浜にメッセージを書いておこうかとも思いましたが、私には翔子さんが居ないということに気づいてやめました。
鎌倉高校前
再び江ノ電に乗って一駅。駅の目の前に海が広がる、江ノ電屈指の絶景スポット。そして屈指の古参聖地の一つだと思います。景色が美しいからでしょうかね、実地に行ってみればドラマの舞台にしたくなる気持ちも、十分理解出来ます。
例の踏切
鎌倉高校前駅といえば、この踏切でしょう。青ブタでもTARI TARIでも出てきますが、当然知名度No.1はスラムダンクでしょう。あの超名作がこの踏切を、日本一、いや世界一のアニメ聖地の一つに押し上げていると思います。実際、この踏切には中国人観光客が観光バスで乗り付けて、踏切が閉まるや皆一斉にシャッターを切っていました。世界一閉じるのが待ち望まれている踏切だといえますね。美しい太平洋を遠景に、走る江ノ電。海外からわざわざ観光バスが出るほどの観光地なのも納得の光景ですが、どちらかというとあまりの人の多さの方が面白かったです。聖地巡礼は万国共通の文化なのですね。それでも住宅街に観光バスが停まってるのは、地元住民的に迷惑な気が……?
鎌倉高校前駅周辺
駅を出てぶつかる道を右に進んでいくと、青ブタのOP映像で使われた道路・線路が広がります。OPに倣って私も江ノ電と併走して走ってみようと思いましたが……歩道が狭いので控えましょう。道幅が狭く、意外と人通りが多いので危ないです。
腰越駅
併用軌道
江ノ電で最も有名な区間の一つ。江ノ島~腰越の併用軌道(道路と空間を共有している線路)です。路面電車…と呼んで良いのか分かりませんが、江ノ電が文字通り壁で隔てること無く地域に溶け込んでいる、とても象徴的な光景だと思います。まあ近年心ない撮り鉄の暴言騒動で有名になってしまいましたがね、悲しいことです。というかなんでこんな下らない事件がwikipediaの記事になってるんだ…?
江ノ島
まだまだ時間があるので、江ノ島周辺を徘徊します。
湘南モノレール:目白山下~湘南江の島
Just Because!でもお馴染み湘南モノレール。折角なので乗ってみます。一本前は青ブタコラボ編成だったんですが、唐突すぎて写真を撮れませんでした。無念。
湘南江の島駅ではパネルが展示されていました。江ノ島の街を背に佇む大人翔子さん、良き。
江ノ島
夕暮れ時になると、観光客も少なく、江ノ島近辺の広い道路も閑散としてきます。おかげで散歩しやすいですが。活気が無くなり静かな海辺で、寄せる波音に耳を傾けます。
江の島入口交差点
良い感じに日も暮れてきたので、そろそろ例の現場に足を運んでみます。
暗くなってから実地に行ってみると、江ノ島に向かう橋の真っ直ぐに伸びた街灯、ライトアップした江ノ島のキャンドルと、とても綺麗な夜景です。だからといって立ち尽くして眺めてるのは怖いですが。雪が降ってなければ平気でしょう()。
ま、独りで見ていても悲しいだけなので、小田急片瀬江ノ島駅に向かうとします。
えのしま2号:片瀬江ノ島(1957)~新宿(2105)
こんな遅くまで江ノ島に居たのは、ロマンスカーを待っていたためです。しかもどうせ乗るならEXEじゃなくて展望席付きのに、と変な時刻まで取り残されました。それではぼっちロマンスカーという、ロマンスの欠片も無いムーブをしていきましょう。
今回はわざわざ展望席の切符を確保しました。といっても最前列ではなく2列目なんですが…。逆にこんな平日夜の列車でも、最前列は埋まるんですね。ちなみに最前列は、途中の区間でサラリーマンが乗ってきました。この展望席が、仕事疲れの癒やしになりますよう……。
始発駅はガラガラですが、人生初のロマンスカーを味わいます。展望席といっても、前述の通り小田急江ノ島線は藤沢駅でスイッチバックをしないといけないので、藤沢までは逆走します。それもまた面白い経験です。系統分離の結果、今や藤沢を跨ぐ列車はロマンスカーだけになってしまったので、このスイッチバックを楽しめるのもロマンスカーの特権です。まあ、ロングシートでスイッチバックしてもあまり楽しくないですからね。
結局始発から終点まで乗り通す客も少なく、途中で最前列も空いたので最後は移動してみました。運転席の真下なので、景色もさることながらマスコンを操作する音、鉄道無線の音声も漏れ聞こえてきて、運転士の気分になれること間違いなしです。速いし車内は快適だし、これで特急料金620円というのは破格でしょう。という訳で新宿に戻ってきて、今回の舞台を巡る旅は終了です。
おわりに
江ノ島、鎌倉と有数の観光地を結び、それ自体も乗っていて楽しい江ノ電。聖地巡礼を抜きにしても、都内からの日帰り旅行としては最高の目的地だと思います。そしてそれを支える「江の島・鎌倉フリーパス」。めちゃくちゃお得なので是非お使い下さい。
アニメネタが多くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
参考文献
徘徊するにあたり、これらのサイト様を参考にさせて頂きました。おかげでアニメの世界に入り浸ることができました。ありがとうございました。