ぼくとー旅行記

どんなに些細な距離であっても、非日常がそこにあるならそれは旅行である。

大学(ラボ)よりも遠い場所 (後編)

初稿: 2024/04/28

2022年7月3日 (D1)

みんな同じ顔だけど、進路はバラバラ

 「ふらっと両毛 東武フリーパス」を片手に、アニメ「宇宙よりも遠い場所」の聖地こと群馬の入り口館林に来て聖地巡礼したのが前編のお話。そんな館林といえば、隠しヒロイン館林見晴東武伊勢崎線系統3線が乗り入れる交通の要所。この先は単線でローカル色が色濃くなる区間ですが、後編:伊勢崎線系統で回る両毛の旅スタートです。

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東武佐野線:館林(1302)~葛生(1336)

声に出して読みたい駅名

 まず最初は東武佐野線。グンマー館林から国境を越え佐野ラーメンで有名な栃木県佐野市へと至る路線ですが、単線・2両・ワンマン運転といきなりローカル線感が強くなります。昔は貨物で賑わったそうで、ワンマン路線には不釣り合いな程の広大な葛生駅構内配線が、往年の姿を偲ばせます。また国鉄っぽい感じですね。天気の急変する夏のこと、外はいよいよ大雨で、元々閑散とした車内に一層重い沈黙に包まれます。これもまた地方感漂う寂しさに一層拍車をかけ、えちぜん鉄道の様な雰囲気ですが、これでも一本で浅草まで行けるんですよね。

広々とした葛生駅は雨に包まれ
東武佐野線:葛生(1408)~館林(1447)

無人駅あるあるの整理券発行機

 来た電車で折り返すだけですが、葛生駅で30分ほど停車。館林までの所要時間も30分ほどなのに……。とはいえ雨も酷く歩き回る気も起きないので、一瞬駅の外に出たら再び車両へ戻ります。ワンマン運転で来た道を引き返して館林駅へ。館林は雨が上がってました。

ターミナルっぽい切り欠きホーム
東武小泉線:館林(1456)~西小泉(1514)

見た目は同じ?次は小泉線です。

 館林駅で乗り換えて4番線から、小泉線に乗車します。専用の切り欠きホームからの発車というのが支線感を強めますね。

乗り換えに配慮した?館林駅配線

 そんな単線に揺られて20分足らずで終点西小泉に到着。一応1面2線ですが、緑の中佇む寂れた施設がまた、地鉄感を強めます。

朽ちたホームがかつての賑わいを偲ばせる

 

東武小泉線:西小泉(1520)~東小泉(1524)

今来た電車で折り返し

 というわけで小泉線の終点西小泉から小泉町を挟んで分岐駅東小泉へ引き返します。そんな小泉3駅は群馬県邑楽郡大泉町に所在。どういうこっちゃ。大は小を兼ねるのでしょうか。

東武小泉線:東小泉(1525)~太田(1534)

 東武小泉線東小泉駅で分岐しており、一方は前述の西小泉駅へ、もう一方は太田駅へと伸びています。とはいえこの太田方面の分岐線は東武桐生線と一体となった運行系統となっており、東小泉~赤城間の運転が主体です。房総半島みたいに、館林発太田行(東小泉経由)となっても面白いんですがね。

 東小泉でのこれら2線の乗り継ぎはきちんと考えられており、対面乗り換えでスムーズに赤城行へ乗車。車両は白地に青帯の8500系(2両編成)。野田線感がありますね。直通でそのまま桐生線に行ってもよかったのですが、今回は太田駅で下車。乗り継ぎに時間があったので、窓口にて帰りの特急券を購入します。そんな太田駅は今まで見てきた駅とは段違い、館林よりも大きく綺麗な高架駅で驚きました。流石は群馬第3の都市です。

久々に見る大きな駅でビビる
東武伊勢崎線:太田(1601)~伊勢崎(1626)

8000系800型

 そんな一大乗換駅の太田駅では、館林で別れた伊勢崎線に久々に再会します。つまり館林~太田小泉線伊勢崎線2ルートが存在するのですが、まあわざわざ乗り換えてまで小泉線を使う物好きはいないですよね*1。という訳で、伊勢崎線のさらに末端へ。車両は同じワンマン運転ですが、8000系の800型と3両編成に増えました。車内には学校帰りの中高生で溢れ、群馬に張り巡らされた東武網の性格を表しています。

伊勢崎駅
東武伊勢崎線:伊勢崎(1631)~太田(1656)

妙に綺麗な伊勢崎駅

 京急久里浜線と並んで「路線名のおかげで知名度はあるけど、いまいちどこだか分からない駅」筆頭である伊勢崎駅(個人の感想です)。まあ近年はスカイツリーラインとかいういう意味不明なネーミングのせいで、存在感が低下してますが……。これまた思ったより立派な高架駅で驚きました。もっと京成のちはら台みたいなのを想像していたのですが、実際に行ってみるもんですね。東武部分は1面2線であり、奥に見えるホームはJR両毛線のものです。なんだか両毛線東武との連絡駅だけ立派じゃないですか??

 という訳で、再び乗ってきた伊勢崎線(館林行)に乗車して太田駅へ。伊勢崎線は浅草まで伸びているとはいえ、館林で系統が分断されています。

東武桐生線:太田(1728)~赤城(1757)

乗り換えて6番線

 再び太田駅で30分ほど時間を潰して。小泉線から来た赤城行に乗車します。太田の立派な高架から降りて、のどかな一帯をワンマン電車が駆け抜けるというのが風情があっていいですね。

赤城駅では上毛電気鉄道と並びます
特急りょうもう42号:赤城(1800)~浅草(1956)

207F

 赤城駅からは、特急りょうもうで一気に浅草まで上ります。「りょうもう」といえば伊勢崎線完結の特急だと思っていましたが、大部分は伊勢崎ではなく桐生線に乗り入れるのですね。お前こそ真の「特急あかぎ」だ。

名残惜しいですが、浅草までひとっ飛び

 そんな特急りょうもうは、太田まで桐生線を走ると伊勢崎線に入り、館林を通って伊勢崎線を駆け抜けます。まだ乗ってなかった太田~館林(伊勢崎線経由)も、これにて乗車達成です。

一度引っ張り出すと、中々戻せず苦労するテーブル

 流石に赤城駅ではほとんど乗客は居ませんでしたが、太田、館林を出る頃には何人か乗ってきました。複線区間を快調に飛ばすと、やがて日は落ちてきて。気づけば窓の外にはスカイツリーが輝き、終点浅草に到着です。赤城駅から約2時間、短すぎも長すぎもしないちょうど良い旅だったのではないでしょうか。

旅の終わりを告げるスカイツリー

おわりに

207FはLED方向幕

 関東の私鉄では屈指の路線長を誇る東武鉄道。その末端区間は、関東の大手私鉄とは思えないローカル感溢れる素敵な車窓でした。東京からほどよく近く、ほどよく遠く、ちょっとした旅行気分に応えてくれるお手頃なエリアです。日光方面は観光地感が強すぎますからね。半蔵門線日比谷線からでは見られない伊勢崎線の一面を味わえる、楽しい小旅行だったと思います。都会の喧噪から距離を置いて気軽にリフレッシュしたい方には、是非おすすめいたします。

 これにて伊勢崎線系統はコンプリートです。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

*1:距離は小泉線の方が短い。運賃は同額だが。