ぼくとー旅行記

どんなに些細な距離であっても、非日常がそこにあるならそれは旅行である。

青春ムーンライト伝説

初稿: 2023/06/10

 高1の夏。気づけばもう私も高校生。

 高校生といえば青春!青春といえば18きっぷ!!

 という訳で「青春18きっぷ」を使って広島の祖父母宅へ遊びに行った話。本きっぷのルール説明は……要らないですよね??

発掘された当時の旅程と時刻表

 部屋を漁っていたら、当時の記録やらが出てきたので記事に書き起こします。もう、10年も前のことなんですね…。しかし変なトコで殴り書いたから汚いな…。

 スマホも持っていなかったあの頃、この「コンパス時刻表」が必需品でした。不測の事態に備えるのはもちろん、路線図を眺めたり、交換した列車の詳細を調べたりと、暇つぶしにももってこいの旅の相棒です。

 一本逃すと一時間待ちもザラな世界。時刻表と睨めっこして計画を立てて、いざ出発。

2013年7月31日 (高1)

快速ムーンライトながら:東京(2310)~大垣(0551)

 これはまだ東京駅7~10番線が東海道線だった頃の話。「東北縦貫線」はまだ建築途中だった頃。上野東京ラインなんてものはありません。

 夏休みの部活を終え家に帰り、夕食と入浴を済ませてから東京駅へと向かいます。

ぽつんと輝く「大垣行」

 「大垣」と見慣れない行き先が、これからの旅を予感させます。結局の所、この列車以外で「大垣」という地名を目にすることはまずないのではないでしょうか。(除く:ゆるキャン)

そんな「快速アクティー」みたいな面されても

 あくまで個人的な偏見ですが、「ながらに乗る」というのは「ライブに行く」のような、ある種のオタク成人の儀式みたいなところがあるのではないでしょうか。少なくとも当時の私はそう思っていて、緊張と興奮で胸がいっぱいでした。大丈夫?この後眠れる??

ホームに上がると、今は亡きE4Maxの姿が。旧塗装の方が好きです。

 流石の東京駅もそろそろ眠る時間。静けさが駅を包み始めています。そんな中でも、この東京駅10番線ホームだけは、これから始まる旅へ向けた活気が空気中に満ちていて。

 「まもなく列車がまいります」その自動放送に、辺りの空気にスイッチが入ります。そして入線してきたのは……。

旧式も 威厳たっぷり 国鉄色

 国鉄色189系国鉄型の年齢を感じさせない、堂々とした入線です。もう相当古くさいはずなのに、天下の東京駅に対して格落ちしないその姿は、流石長らく国鉄の顔をはってただけのことはあります。

 奇をてらわず余計な飾り付けはしないシンプルな車体形状、クリーム色のベースにえんじ色の帯というシンプルな塗装にも関わらず、逆にその直球勝負・横綱相撲然とした堂々たる佇まいが、見る者に格調と伝統を感じさせ、長距離旅行の興奮に火を着けます。

 流石にもう快速としての運用ですが、往年の名車が東海道という花道を長距離駆け抜ける。その光景を見るどころか乗れるというのだから、とても貴重な経験だと思いました。国鉄型特急が廃止されていった現代からしてみれば尚更です。

快速ではあるけれど、国鉄の特急の気分

 最近のデザイン性の高い特急車両も嫌いではありませんが、この武骨なクリーム色の国鉄型特急車両がずっと私の憧れでした。そのくせ183・189系485系の区別があまりついてなかったのは秘密。

 しんとしたホームに、特に「レトロを売り」にする訳でもなく普通の列車として入線してきた189系。昔ながらの方向幕に印刷された「大垣」の文字。タイムスリップしたかのような非日常が、これから始まる旅への期待感を増幅させます。

 それではさっそく乗り込んでいきましょう。

昭和にタイムスリップ

 車内に漂う旧車の匂い。飾らない、良い意味で無機質な内装。くたびれて柔らかくなった椅子に黄ばんだテーブル……。何を取っても、昭和にタイムスリップしたかのような空間です。こんな空間が、ほんの10年前にの東京に在ったというのだから驚きです。ギリギリでこれを体験できたのは、非常に恵まれていた。

 やがて列車は走り出すと、夜の東海道を「快速」で駆け抜けます。というか、下手な特急踊り子より速いです。車掌が切符を見に来るので、「18きっぷ」と「東京→小田原」のきっぷ、そして指定券を見せ、18きっぷに翌日付の判子を押して貰います。日付が変わると最初の停車駅は小田原。ここを最後に乗降は減り、12時を回ったこともあって車内に夜が訪れます。ここで寝付けないと後々大変なのですが…。

 肝心の乗り心地ですが、「思ったより悪くない」といった感想。古いといっても長距離特急用車両ですから、揺れも走行音も、そこら辺の普通列車より数段少ないです。モハに乗車しましたが、特に気にはなりませんでしたね。新幹線ほど静粛性はありませんが、これに我慢できないようならこの先の18きっぷの行程は厳しいでしょう。

 「3列夜バスの方が上」という感想も見られますが、私としてはこちらのムーンライトの方が好みでした。「好き勝手歩ける」「窓の外の景色が見られる(カーテンが付いていないため)」「携帯いじってても怒られない」点において、夜バスに勝ってると思います。とはいえムーンライト全盛期には乗客の民度も低かったらしいので、隣席ガチャ外してたら3列独立夜バス推しになっていたかもしれません。でも、眠れないときにぼぅーっと流れゆく夜景を眺められる、この一点だけでも夜行列車の価値はあると思います。

 ちなみに携帯をいじる件についてですが、そもそも車内は減光しない上に、浜松駅?(記憶が曖昧)ではナイター用の水銀灯で車両を照らしてくるので、携帯から漏れる程度の光は誤差です。あの水銀灯はキツかったですね。夜中ふと目が覚めた後、眩しすぎて眠れなかったですもん。電灯に殺意を抱いたのは初めてです。

 外がようよう白くなりゆくと、荷物をまとめる音など活動の気配が車内を賑わします。5:20名古屋着。こんな早朝でどうするんだ?とも思いましたが、意外と下車客は多かったです。東京→名古屋を夜行列車で移動しようとしたら、これしかありませんからね。帰省客の利用も多く、一番驚いたのは幼稚園くらいの子連れ家族がボックスを取って東京→名古屋で乗車していたことです。大人はともかく、子どもで座席夜行列車・5時起きはしんどくないか…?まあこれに耐えられるようであれば、将来が楽しみではありますね。

 夜が明けてくるとタイトル回収して長良川を通過。この頃には他の客もそわそわし始め、下車の準備ダッシュに向けた準備運動を始めます。

 そして5時51分、列車は終点大垣駅に到着します。ちょっぴり固まった身体を伸ばして、朝の空気を胸いっぱいに吸い込みます。結局あまり、眠れませんでしたね。

2013年8月1日

東海道本線普通網干行:大垣(0624)~米原(0659)

西の車両と並ぶ189系

月がかわって8月よ!

 大垣駅5:51到着後、5:56発網干行にダッシュで乗り換える通称大垣ダッシュ。まあ普通に駅構内を爆走するのは危ないのですが、人間の座席への欲求は止められないものなのでしょうか。結構みんなガチで走っていて、思わず見入ってしまいます。

 そんな私は上の写真を撮ってる時点で大垣ダッシュは諦め。遠くまで行くのであれば上の列車に乗ることは必須ですが、広島程度であれば時間に余裕はあるので一本後のに乗ります。しかしやっぱ国鉄の特急色は美しいなあ…。

 一本後の列車はくたびれた人しか乗らないからか静かで、疲労感の漂う車内でした。関ヶ原など、東海道本線にしては閑散とした区間を抜けて、開けたと思ったら米原駅に到着。このまま網干まで行けますが、ここで北陸本線からの新快速に乗り換えます。

新快速姫路行:米原(0717)~姫路(0952)

 さてここからは18きっぱーの味方、新快速に乗車します。

 長浜始発の車両に近江塩津始発の車両が米原駅で連結します。大垣方向との連結ではないのですね。不思議です。

 たぶん長浜発側が空いてた気がします。とにかく転換クロスシートの窓際を確保して姫路に向けて出発です。ながらで眠れなかった疲れが出てきて、度々夢の世界へ…。

 京都・大阪を抜ける頃にはラッシュ時間帯。混雑した車内の中、こんな旅行者が座って寝てて良いものか、という気もしますが睡魔には勝てません。その後車内は空いていく一方で、兵庫に入る頃にはガラガラです。

必ず見るもの:明石海峡大橋と時計台

 目が覚めてくる頃には車内は落ち着きを取り戻し、列車は山陽本線へ。あまり天気は良くありませんが、明石海峡大橋日本標準時の時計台はしっかり写真を撮っておきます。こういうのが見られるのも、在来線の旅ならではです。新快速は山陽線をすいすい進み、終点姫路駅へ…。

ここまでは快適な旅でしたが……
普通播州赤穂行:姫路(1007)~相生(1026)

播州赤穂までは223系が走る。都会。

 時刻表を見ると、米原駅一本後の新快速でもおそらくギリギリ間に合ったと思うんですが、余裕をみて。少し時間があるのでトイレ休憩と駅中の散策をしてみます。姫路駅、新幹線で通るときは何も思いませんでしたが、意外と綺麗な駅ですね。

 せっかく早く乗車できるので、さっさと席を確保してさらに西を目指します。伊東線みたいなローカルみが出てきて、列車は山陽本線赤穂線の分岐点、相生駅へ。50音順最強の駅としても名高いですが、この相生越えは18きっぱーの難所の一つ。相生~岡山の本数が極端に少ないのです。赤穂線という迂回ルートはありますが、大抵の場合結局播州赤穂で詰みます。ごく稀に赤穂線回りで早く岡山につける場合もありますがね……。

山陽本線普通三原行:相生(1030)~岡山(1139)

 相生駅山陽線ホームに乗り換えるとそこには――。

子どもが泣きそうな顔

 で、出た~~~!ある意味国鉄JR西日本の名物だった先頭車化改造115系です。しかも真っ黄色。どことなく不安を覚える顔ですね。こいつを見ると「いよいよだな」という気分になります。

 でまあ問題だったのは、ここから編成が一気に短くなること。呑気に赤穂線で座っていて乗り換えに出遅れたため、席にはありつけませんでした。一時間くらいまあええか。ドアの窓から、山々を抜ける車窓を眺めます。

岡山駅

 一時間くらい電車に揺られて、岡山駅で下車します。

 今も昔も、岡山駅は色んな列車が来て、見ていて楽しいですね。列車の博物館です。

113, 115系本来の顔

 しばらく写真を撮りながら、次の列車を待ちます。

こんなところにも国鉄型特急。廃止前に乗りたいものです。
快速マリンライナー29号:岡山(1212)~高松(1305)

 せっかくなので、ちょっと四国に足を踏み入れます。

 先ほどまでの115系とは大違い、マリンライナーほぼ223系なので快適です。

人生初瀬戸大橋

 何気に人生で初めての瀬戸大橋通過です。晴れてきたので海と瀬戸内海の島々がとても綺麗です。

ずいぶんと立派な橋です

 四国に鉄道で初上陸!何となく風景が本州と変わった気がします。

この小さな山が、四国という感じがする。

 そして列車は「さぬきうどん駅」こと高松駅に到着です。

四国では珍しく立派な駅

 せっかくなので、改札内のお店で讃岐うどんを頂きます。立ち食い蕎麦のノリで讃岐うどんが食えるのは流石香川県。でも今はもう、このお店無くなっちゃったんですよね…。残念。

駅中の讃岐うどん
快速マリンライナー38号:高松(1410)~岡山(1502)

これぞマリンライナー

 昼食を摂ったら再び山陽本線に戻ります。まずはもう一度マリンライナーに乗って岡山です。電車で一時間、近いんだか遠いんだかよく分からない距離ですね。よく眠れました。

右と左で形式が違うなんて…嘘だろ……?
山陽本線普通岩国行:岡山(1510)~海田市(1806)

 そろそろ疲れてきたのか写真がなくなっていきます。

 祖父母宅は呉の方なので、海田市(広島の手前・山陽本線呉線の合流点)まで山陽本線に乗っていきます。当時はまだ三原を跨ぐロングラン普通列車が残っていました。

 「18きっぷの苦痛区間」といえば静岡県が有名ですが、この相生以西の山陽本線も相当しんどいです。転クロなだけマシなのかもしれませんが、本数は少ないし快速もないし景色は単調だし、で面白くはないです。当時は乗り換えも発生しなかったので、逆に退屈さに拍車をかけました。乗り換えが多すぎるのも困りものですが、全然無くて座りっぱなしなのもつまらないものです。

 とはいえ疲れている自分にとっては、動かなくていいのはありがたいこと。目が編めたら尾道でした。…ってまだ半分じゃないですか。

 

 その後も特に何事もなく、祖父母宅に到着。のんびりさせてもらいました。

 祖父の育った場所が竹原市ということで、竹原に連れて行ってもらったりしました。当時はたまゆら未履修だったんですけどね……。それでもちゃんと写真は撮ってました。ぱしゃ。

見る人が見ると脳内に音楽が流れてくるやつ

 確かに、何かしらの舞台で使いたくなるような街並みですよね。しかもこれが観光客向けの施設とかではなく、今も人々が生きているというのだから素敵です。監督も似たようなこと言ってた気がします。ちなみに「たまゆら」の監督は「セーラームーン」の監督なんですよね、ということでタイトル回収。

旧笠井邸

ツバメの巣。「夏鳥」名曲ですよね

2013年8月3日

 思いの外18きっぷでの広島旅は余裕だったのか、思ってしまったのです。「せっかく広島まで来たのなら、もっと先を目指すべきでは?」

 という訳で日帰り九州強行軍スタートです。

普通下関行:海田市(0543)~下関(1000)

 祖父の協力を仰ぎ、初電の白市始発下関行に乗っていきます。これでも最長ではないのですが、意味不明な長距離列車。白市から下関まで約5時間かけて走破します。途中からとはいえ乗車時間は驚異の4時間、新幹線なら東京から広島に行けちゃいます。まあ、山陽本線は線形悪いからね…。

系統分離の拠点岩国も、今日は通過駅

名前の知らない観光列車みすゞ潮彩というらしいが居ました

 という訳で本州側の末端、下関駅です。本州最西端ではないのが表現を難しくしますね。長大なホーム・多数の発着線が、九州への玄関口として賑わった往年の貫禄を今に伝えます。

次は九州
山陽本線普通小倉行:下関(1009)~門司(1016)

 九州に入ると交流電化に変わるので、ここから先は交直両用電車の415系に乗り換えます。下関~門司は書類上では山陽本線ですが、JR九州の管轄です。

白地に青帯が美しい

 下関までの山陽本線で爆睡しててのんびり乗り換えたので、薄々感づいてはいたんですが、やはり乗り換え先では座れませんでした。だからって、床に座ったりはしてませんよ。というか、そういう民度なの…?

JR九州、迫真のお願い

 海峡の長いトンネルを抜けると……。

そこは九州であった。

 まあ、長いって言っても10分弱ですからね。たいした距離ではありません。青函トンネルとは桁が違います。それでも、トンネルを抜けると駅名標のスタイルが変わるというのは、はるばる遠くまで来た気分にさせてくれます。鉄オタ的には交直セクションの方が大事かもしれませんが。

複雑な配線の先に関門トンネル
鹿児島本線快速荒尾行:門司(1024)~博多(1142)

813系。キミそんな頭でっかちだったっけ?

 ここからは813系快速に乗っていきます。

 JR九州は特急が有名ですが、普通列車からして顔が違うので異国感があって楽しいですね。813系は私が昔福岡に住んでた頃から走っていたので特に思い入れ深いです。何故か先輩の811系の方が未来感ある顔だけど。

 1時間半弱揺られて、博多駅に到着!なお新幹線なら小倉~博多は約15分です。新幹線って速いんだな…と実感しますね。

博多駅。久々に来たらずいぶんと綺麗になってました。

 せっかくなので、天神に行って博多ラーメン食べてました。最近は東京でもお店が増えてきましたが、博多で食べると美味しい…気がしますね。少なくとも、ラーメン屋の数は圧倒的に多いので競争原理は働いていそうです。

君は変わらないね、福岡市市営地下鉄
鹿児島本線快速門司港行:博多(1323)~折尾(1408)

博多駅

 博多駅に戻って、九州の鉄分補給をしておきます。滅多に来られないからね、九州までは。

今なお美しき885系

 「白いソニック」こと(青帯)885系。個人的には九州の特急で一番美しいと思っています。ところでコイツ以降新規特急車両ないけど大丈夫?日本離れしているデザインですが、この丸みを帯びた優雅さが、「かもめ」という列車名にぴったりなんですよね。「ソニック」は…883系のイメージが強すぎて勝てません。「リレーかもめ」になろうが「白いみどり」になろうが、私の中でコイツは「かもめ」です。永遠に。

やっぱ813系はこの顔・この方向幕ですよね

 そしてこちらの811系に乗って、広島への帰路につきます。811系、美しいですよね。ただの普通電車なのに、特急「はるか」のような優美な印象を与えてきます。貫通顔なのに貫通顔を感じさせません。

通勤電車にしては優美すぎない?

 何故だか「811系は快速、813系は普通」ってイメージがあります。本当に何故だか分かりませんが。そのくせ「811系と813系はよく連結する」ってイメージもあるんですよね。811-811同士より、811-813のペアのイメージの方が強いです。

811系×813系

 見るのは久々でしたが、ちゃんとこの推しカプは続いているようで安心しました。真っ白な811系の相方は、真っ赤な813系じゃなくっちゃね。

811系を見送る。隣ですれ違っているのは883系ソニック
きらめき10号小倉行:折尾(1412)~小倉(1428)

どうしても九州の特急に乗りたくて

 折尾駅ホームで待つこと数分、すぐにやって来た787系特急「きらめき」に課金して、終点の小倉まで乗っていきます。

 この課金、自由席特急料金は勿論のこと、18きっぷは特急利用不可なので折尾~小倉の乗車券も別途課金してます。それでも、短距離でも、九州の特急に乗りたい欲が勝ってしまったんだから仕方ありません。

 ちなみにこの「きらめき」は、流石に先程まで乗っていた快速を追い抜きます。が、結局関門トンネルボトルネックなので広島到着時刻は変わりません。早く帰るためとかでもなく、純粋に「特急に乗りたい」がための課金。

TSUBAMEが透けてるよ

 乗り心地もスピードも、先程までの快速とは段違い…なのですが、ほんの15分程度しか乗っていなかったので、787系を味わい切れていないという感じです。座席も快適だったのですが、興奮が勝ってくつろげなかったですね。あっという間に終点小倉に到着。でも、一応検札は来て、ドヤ顔で特急券を見せた記憶があるような。まあ正しく課金している側としては、切符を見られない方が損してるような気分になりますからね。

いや、シャトルを撮れよ、自分
普通下関行:小倉(1437)~下関(1452)

交直流電車にお乗り換え

 それでは再び関門トンネルを通って本州を目指します。ちなみに特急に課金しなかった場合の小倉到着時刻は14:34。3分乗り換えですので、まあ可能ですね。でも特急に課金したおかげで特急に乗れたし、下関行の座席も確保できたので安い出費です。

山陽本線普通新山口行:下関(1508)~新山口(1615)

乗らないけど、ついつい撮ってしまうキハ40系

 上の写真は、海を背景に佇む山陰本線をつい写真に収めただけで、乗ってはいません。ここからはいつもの115系やら113系やらを乗り継いで、山陽本線を東に向かうだけです。特にもう写真はありませんが、記録だけ。

山陽本線普通岩国行:新山口(1648)~岩国(1843)

 呉線直通・新山口16:20発というおあつらえ向きの電車があったのですが、土休日運休ということで泣く泣く新山口で30分待機。こんなところで30分何してたんだ…?

 岩国で花火大会があるのか、浴衣を着た男女がたくさん乗り込んでは岩国で降りていきます。私はそれを尻目にさらに東へ。

山陽本線(呉線直通)普通広行:岩国(1850)~広(2045)

 岩国まで来ると、広島(市)は目前ですね。

 ちょうど呉線直通があったので、それに乗って、呉線某所で降りて広島~福岡の往復旅は終了です。意外とできるもんですね。後にやった18きっぷでの東京~仙台日帰りより楽だったかもしれません。あーでも、岩国~下関は、福島県越え並みにキツかったですね。でも、関門トンネルを抜けると普通列車からして全てが変わる別世界感は最高の経験でした。

2013年8月6日

 家に帰るまでが遠足、東京に着くまでが旅行。ということで帰りの記憶も、思い出せる限り綴っておきます。

山陽本線普通和気行:海田市(0644)~岡山(0929)

 広島に別れを告げて、山陽本線を今度は東へ向かっていきます。基本的に帰りは一度見た車窓を眺めることになるので、ワクワク昂揚感というよりは寂寥感の方が強いですね。

 転換クロスが空いてなかったので、末端のボックス席に一人で着席。当然ながら、途中で相席になりましたが。私にとっての帰宅の列車も、誰かにとっては旅立ちの列車なのです。

 途中、三原駅7:49に到着するんですが、僅か4分前の7:45に三原始発相生行が出てるんですよね。喉から手が出るほど欲しい相生行きの列車、この接続はどうにかしてほしいものです。

山陽本線普通相生行:岡山(1013)~相生(1118)

帰省客で賑わうやくも

これが10年前の岡山駅の光景だ!

 仕方ないので岡山駅で相生行を待つこと約45分、新見発相生行に乗り込みます。どうせなら倉敷とかで待てばよかったのに、伯備線直通列車のことがすっかり頭から抜けおちていました。そういえば、岡山駅では日常だった上の写真の組み合わせも、そろそろ見られなくなるんですね。

普通姫路行:相生(1120)~姫路(1139)

 本当に来た道を逆順に辿っていきまして、相生で播州赤穂発の列車に乗り換えます。まあ、2度目で馴れたものなので、2分乗り換えも余裕ですね。

新快速長浜行:姫路(1157)~大阪(1300)

車両も都会になりました

 

 姫路駅でも3分乗り換え…のはずが、若干遅れて1本後の新快速に乗ることに。まあでも新快速なんていくらでもありますからね。相生を越えてしまえば、心のゆとりが違います。

晴れてて明石海峡大橋がよく見えます
新快速近江塩津行(東海道北陸本線):大阪(1330)~米原(1453)

 大阪駅で昼食を買い、東京への旅を再開します。…と、その前にホームに降りてみると……。

これが10年前の大阪駅の光景か?

 201系と並ぶ客車夜行列車!10年前とはいえ、これが日本第二の都市・大阪の姿か!?

 実際には客車と侮るなかれ、伝説の超長距離豪華寝台特急トワイライトエクスプレス」なのですから。小さな頃から憧れの的でしたが、終ぞ乗る機会を得ないまま廃止に、遠い遠い存在になってしまいました。「お金持ちになったらあれに乗るぞ」と思ってたんですがね、残念です。大阪から乗り換えなしで札幌まで行けてたのですから、凄い時代でした。よい長旅を、ご安全に。

 ちなみに8年前の新宿駅の写真を発掘したので、載せておきます。これはこれで信じられないですね…。

これが8年前の新宿駅の光景か?
東海道本線普通大垣行:米原(1459)~大垣(1533)

米原に眠る、過去の新幹線試験車両

 とうとう車両がJR東海(313系)になりました。東に進んできた証拠です。

 この関ヶ原越えも多少ボトルネックになる区間なのですが、ここは比較的接続が考慮されていたのでありがたいです。

 行きも帰りも、妙に車内が静まりかえるこの区間。旅の終わる寂寥感を一層駆り立てます。東京が近づいてきた……そうこの頃は思っていました

日中はお休みムーンライト

大垣駅に帰ってきました
東海道本線新快速豊橋行:大垣(1541)~名古屋(1617)

新快速の英訳がNew Rapidでいいのか?JR東海

 大垣から再び新快速に乗車。名古屋で下車して、少し飲み物を買うなどの休憩です。大垣と名古屋って意外と近いんですね。ここから先の区間は、行きの「ながら」では寝ていた区間なので、少し楽しみです。まあ、これまでの区間も結構寝てたけど

東海道本線特別快速豊橋行:名古屋(1647)~豊橋(1739)

 「快速」の上位種別として、関西では「新快速」が、関東では「特別快速」がありますよね。じゃあその中間の名古屋では?

 答え:両方ある

「新快速」と「特別快速」の力関係や如何に

 当時は特別快速の方が上のようでしたが、土日ダイヤだと[特快]→[新快]に変更になったり最高に意味が分かりません。でもとりあえず15分毎にどっちかが来るのでそれに乗ればOK。

次は特別快速に乗ってみます
東海道本線普通浜松行:豊橋(1742)~浜松(1815)

 さて、地獄の静岡県編①。実は豊橋発も(その前の名古屋の時点でも)1本後の電車でも東京着は変わらなかったと判明しますが、この時点では「早いの乗れたし、早く帰れるかな」とか思ってました。

 正直この区間記憶が無いです。読書が捗りました。

東海道本線普通興津行:浜松(1827)~静岡(1938)

 「興津ってどこだ?」と時刻表を見ると、この電車に乗っても三島から先に進めず、1本後の電車と到着時刻は変わらないことが判明。ならばと静岡で降りることに決定。

 日もだんだん沈んでいき、辺りも暗くなっていくと共に、気分も暗くなっていきます。18きっぱーなら誰しもが一度は思う「まだ静岡県」。東京のロングシート通学に慣れているので、ロングシート地獄なのはさほど気になりませんが、「外が暗く景色が楽しめないこと」「快速もなく普通電車ばかりで単調なこと」この2点がとてもしんどかったです。

 あと不思議なことといえば、何故かベトナム系?の方が多くこの区間に乗車されてたことでしょうか。

東海道本線普通熱海行:静岡(2003)~熱海(2120)

車両も関東でよく見た奴でつまらん

 結局、約30分静岡駅で待ちぼうけ。そんな私を横目に、新幹線はすいすいと駆け抜けます。文明の利器を、指をくわえて見るしかできないのが、18きっぱーの辛いところです。熱海行きの車両が313系だったことが救いでした。

熱海駅はもう夜です
東海道本線普通東京行:熱海(2140)~東京(2326)

 熱海駅で待っていたのは、見覚えのあるE231系。JR東の勢力圏に入った証拠。「あぁ…帰ってきた……!」と旅の終わる寂しさ半分、静岡が終わる嬉しさ半分の安堵の気持ちです。ここまで来れば、もう帰れますね。馴染み深い「東京」の方向幕が、旅先の緊張感から私を解放します。せっかくの長距離なので、熱海からは普通列車グリーン車に課金しました。18きっぷでも普通車指定席orグリーン自由席には乗れるので、ありがたく利用させて貰います。静岡ロングシートに耐えた後のグリーン車、格別です。

名古屋で買った「みそかつ弁当」を食す

おわりに

途中で「ながら」とすれ違いました

 東京~広島というのは結構ちょうど良い距離で、多分これくらいが一日で無理なく(余裕を持って)18きっぷで到達できる最遠なのではないでしょうか。東京~小倉とかはかなりハードスケジュールになりますからね。少なくとも私は、行きも帰りも、そんなにキツい行程だったとは思いませんでした。時間があれば、またやってもいいかな、と思えるレベルです。毎日は嫌ですが…。というわけで皆さんも、時間に余裕があれば是非トライしてみてください。普通列車という誰かの「日常使い」を伝って変わりゆく車窓を眺めるというのは、結構趣深いものです。そして何より、普段バカにしている「こだま」の有り難みが身に染みると思います

 それでもやはりしんどかったのは、静岡越えと相生以西ですかね。ムーンライトながらの真髄はこの、「退屈な静岡を夜間に寝ながらスキップできる」これに尽きると思います。あの限界旅程を抱えたきっぱー共の集う異様な空間を体験できる列車が廃止になってしまったのは、少し勿体ないところもあります。しかしながら、異常に安すぎたので仕方ないかな、という印象です。でも指定料金高くしても良いので、夜行列車があると限界旅程の幅が大きく広がるのにな~と思ってしまいますね。夜間の移動が制限される時間が勿体ないので。

 

 伝説の夜行快速「ムーンライトながら」の記憶を、ここに記す。君のことは永遠に、忘れないよ。

 

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。