初稿: 2024/1/8
2017年8月20日 (3日目)
「若者限定四国フリーきっぷ」3日目、有効期間最終日となるこの日は、徳島県徳島市からスタートです。朝はまだ、あまりお店が、開いてません。
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徳島バス:徳島駅(0930)~亀浦口(1047)
さてJR四国フリー切符の最終日、まずは路線バスに課金していきます。だってぇ…いい時間の電車*1なかったんだもん……。まあどうせ、途中からバスに乗らざるを得ないので、問題ありません。
目指す場所はもちろん「鳴門の潮」!徳島県をしっかり観光していきます。この時点では徳島なんて二度と来ないと思ってましたからね…。
うずしお汽船(1100)
バスを降りると港まで歩いて、観潮船に乗り込みます。少し遅刻して次の船に乗るつもりでいましたが、警備員さんにねじ込んで貰いました。
船は港を出ると、一気に大鳴門橋へ向かいます。海から見上げる大鳴門橋も良いものですね、渦潮が見えなくても最悪これで満足です。大型船の優雅な観潮も良いですが、小型船の風を切る感覚が、移動時間も飽きさせません。天気が悪かったり海が荒れてたりすると地獄なのかもしれませんが…。
時間帯が良かったのか、渦潮日和。橋の近辺で次々うずしおが現れ、橋の周辺を周回している間にも何度もお目にかかれました。タチの悪い水上バイク集団が居て、船長さんが「海保呼ぶぞ!」ってキレてたのもハイライト。写真で伝わりませんが、動いてる実物は凄い迫力でした。本当に吸い込まれそうな。この大迫力のうずしおを間近で見られるのが小型観潮船の魅力だと思います。ただ、うずしおの全体像を見るには、高さのある大型観潮船の方が良いかもしれません。私個人の意見としては、船に慣れてれば小型船がオススメです。いずれにせよ、乗って良かった観潮船。有名なだけあって、見て損は無いです。
渦の道
続いては歩いて、先程くぐったあの大きな橋を目指そうと思います。
大鳴門橋の上層は高速道路であり、主に関西と四国を結ぶ一大メインルートとなっています。この橋の開通が、関西(本州)~四国の交通の流れを変えたとか。四国各地へ向かう高速バスも殆どがこの橋を通ります。そのせいで大渋滞らしいですが。
一方橋の下層は途中まで有料の遊歩道「渦の道」として開放されており、歩いて鳴門海峡を見下ろすことが出来ます。素敵な道です。元々はこの区画は四国新幹線用だったらしいってのが、出来てもない廃線跡を歩く感じで複雑な心境ですが。
海抜45 mのガラス張り床を歩く非日常感も素晴らしいですが、やはり渦の道といえば渦潮。立ち止まってじっくり橋から見下ろす渦潮は、くっきりと全体像が観察できこれまた格別です。
徳島バス:亀浦口(1237)~鳴門駅(1259)
再び路線バスに乗って駅へ向かいます。得てして海の近くまでは鉄道は伸びていないものですから。とはいえ乗り換えのことを考えると、徳島駅からバス一本で良いか、という気になります。所要時間もほとんど変わりませんし。まあ、直通バスの本数は少ないのですが。というわけで路線バスに揺られて20分、南国感溢れる鳴門駅に到着です。
鳴門線:鳴門(1306)~徳島(1348)
本日ようやくJR四国に乗車して、徳島駅を目指します。単行ワンマン気動車が限界感を醸し出していますね。とはいえJR西のキハ120形ほど安っぽい作りではなく、徳島駅まで「これぞローカル線」といったのどかな旅です。
牟岐線:徳島(1424)~海部(1620)
続いては牟岐線で末端まで乗車。海部行きの本数は少ないんですよね。車両は1500形気動車。鳴門線と異なり転換クロスなので、さらに旅情は増します。この通り、徳島県は気動車ばかりで電車が走らない唯一の県*2となっています。ディーゼル音が日常です。
気動車に揺られること2時間、終点海部駅に到着です。意外と、降りる人は私以外も居ました。当時はこの先から第三セクター「阿佐海岸鉄道」の区間となっていましたが、2020年に海部駅も阿佐海岸鉄道に移管され、海部駅はJR四国の駅ではなくなってしまいました。
そんな阿佐海岸鉄道も観光客誘致のため列車だかバスだか分からないレールバスDMV*3へと移行し、純粋な気動車は走らなくなってしまいました。せっかくDMVとなったことです、奈半利駅まで道路をとって、阿佐線の夢を復活させてくれないか、期待してしまいます。というか、北海道のDMV実証実験とは異なり鉄道区間短いんだから、普通のバスに移行した方がよかったんじゃ……。
牟岐線:海部(1545)~牟岐(1642)
路線図を見ると確かに、この先の高知県まで線路を引きたくはなります。という訳で技術に物言わせて高架トンネルなんでもござれ、日本鉄道建設公団が中途半端に作った区間を引き継いだのが阿佐海岸鉄道です。
さてそんなに本数もないので、そのまま来た列車で折り返します。あの時に、この先の阿佐海岸鉄道の区間も乗っておけば良かったな。
折り返し列車は流石に乗客はほとんど居らず。静かな車内でローカル線の車窓を楽しみます。海岸近くを走っているため意外と海が見える区間も多く、見ている人を飽きさせません。
むろと6号:牟岐(1644)~徳島(1754)
牟岐駅から始発の特急に乗り換えて。懐かしのキハ185系です。単線区間ながら、先行の普通列車を追い抜きます。流石。
うずしお26号:徳島(1830)~高松(1937)
いよいよ徳島県ともお別れ、特急うずしお号に乗って高松を目指します。今回の旅行最後の気動車です。JR四国の誇るN2000系はその振り子式車体を揺らしながら、130 km/hで高徳線を駆け抜けます。
フラッグシップ的な車両を使っているだけあって、うずしおは1時間で高松駅に到着。高速バスとバチバチにやり合っている区間です。
寝台特急サンライズ瀬戸:高松(2126)~東京(0708)
流石はJR四国の顔・高松駅。駅舎や駅前は立派です。久々に高い建物を見ました。
香川といえば讃岐うどん。今はもう閉店してしまいましたが、改札内の讃岐うどん屋で夜ご飯を頂きます。今でこそ東京でもチェーン店で食べられるようになりましたが、やっぱり四国外のうどんとは一線を画す食感で美味しいですね。
食後は高松駅に来る電車を見学しながら、東京行の電車を待ちます。
待つのはもちろん憧れの的、国内最後の定期寝台列車サンライズ瀬戸号です。このためにわざわざ10時打ちしにみどりの窓口まで行ったのも、良い想い出です。ベッドに身体を横たえながら、東京駅まで運んで貰います。
今回の部屋は2階のB寝台シングル。この秘密基地の様な最小限の個室に、曲面窓から見上げる夜空が大好きです。同じB寝台ながらソロより少し高い分、荷物を置くスペースや着替えに立てるスペースがあって、快適度は価格差以上に上昇します。個人の感想ですが。なので私はサンライズでは一番コスパが高い部屋だと思っています。そして選べるなら断然2階ですね。
部屋に入って写真を撮っていると、発車前ですが車掌さんが検札に回ってきたので、そのまま車掌さんからシャワーカードを購入*4。水の量が限られた車内で、6分間と僅かながらシャワーを浴びられる贅沢なチケット。さらに使用後には記念品にもなる優れものです。これがあるのでサンライズは始発駅から乗るのが断然有利です。岡山ではもうシャワーカードは売り切れてしまいますからね。
サンライズ瀬戸は高松、坂出を出ると、四国に別れを告げ、暗闇の瀬戸大橋を本州に向け疾走します。当たり前ですが海の上には電灯も無いので、遠くに街並みが見えるとはいえ夜の海はとても暗いのだと実感します。
本州に上陸して岡山駅に停車すると、ここでサンライズ出雲を待ちます。そう、瀬戸号は先に岡山駅に入線するので、出雲号との連結を見学することが出来るのです。時刻はもう既に22時半とはいえ、大勢の乗客がホームに降り立ち、貴重な寝台特急同士の連結を待ち構えます。
サンライズ出雲も引き連れ、列車は山陽本線を東進する頃、シャワーを浴びることとします。シャンプー・ボディーソープは備え付けてあるので、カードと着替えとタオルさえあれば十分です。お湯が出る時間は6分と短いように思えますが、一時停止が出来るので、ビビってこまめに止めながら使っていると半分くらい制限時間が余りました。
暑い夏の日射しの下、流した汗を洗い流すとサッパリして、気持ち良く自室のベッドに転がることが出来ます。暫くベッドから夜空を眺めていましたが、やはり東海道本線は夜でも明るいのでカーテンを降ろして、眠りに就きます。冬は少し寒いかもしれませんが、夏は備え付けの毛布一枚でもぜんぜん余裕です。
非日常の権化のような寝台特急も、やがて日常の通勤電車に囲まれて。横浜を出るともう終点まであと僅かです。遅れること無く一晩で、四国から東京に帰ってきました。寝て起きたらあっという間でしたが、これにて今回の旅は終了です。ただいま、東京。
おわりに
各県にそれぞれ空港のある四国。そのため東京からは直接目的地へ行くのが一般的で、県を跨ぐ移動は特殊事例でしょう。「若者限定四国フリーきっぷ」の有効期限3日というのは、4県をじっくり観光するには足りませんが、滅多にしない県境の移動を叶えてくれます。一気に四国を巡ると、それぞれの県を比較できて、また違った楽しみ方があります。
JR北海道と並び気動車天国のJR四国。その都会では珍しい*5エンジンの吐息と、四方を海に囲まれた車窓が、素晴らしい旅情を演出してくれることでしょう。25歳以下の方は是非このきっぷを使ってみて下さい。それ以上の方も大丈夫。期間の自由度は下がりますがバースデイきっぷというきっぷを使えば似たようなことが可能です。九州よりもコンパクトで、旅行として本当に楽しかったです。
という訳でこれにてJR四国全線制覇です。え?通ってない駅*6があるだろって?いやー楽しかった。
長くなりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。